広告運用代行は、広告媒体での配信設計、入稿、予算・入札・ターゲティングの調整、広告素材の改善、分析・報告などを外部へ委託する方法です。ただし、制作、LP改善、計測実装、CRM/SFA連携、営業連携まで含まれるかは、委託先と契約内容によって異なります。
外注を成果につなげるには、手数料だけで候補を比べるのではなく、任せる工程、自社に残す責任、広告費を含む総額、権限や評価方法を先にそろえることが大切です。この記事では、複数候補へ同じ条件で提案・見積もりを依頼できる状態になるための実務手順を整理します。

広告運用代行は、委託範囲・費用・権限・評価基準を分けて整理し、候補先へ同じ条件を渡して比較します。
01Section広告運用代行とは何か:まず委託範囲を工程別に決める
広告運用代行は、広告枠そのものを販売するサービスではなく、広告配信を設計・実行・改善する業務を委託する形態です。どこまで依頼できるかは一律ではないため、「広告運用を任せる」とだけ伝えるのではなく、工程ごとに範囲を決める必要があります。
広告運用で共通認識にしたい用語
CV
広告の反応を測る起点です。資料請求、問い合わせ、商談予約など、対象行動を明確にします。
CPA
CV単価です。CVの質や商談化率を見ずに、CPAだけで成否を決めないようにします。
有効リード
営業対象に合うリードです。企業規模、業種、役職、重複、採用・営業目的の連絡などの扱いを決めます。
KGI・KPI
受注などの最終目標から、必要な商談・有効リード・CVを逆算して設定します。
CRM/SFA
媒体上のCVと、営業側で判定する商談・受注を接続するための管理基盤です。
委託先が担いやすい業務と、自社に残る判断
委託先は、発注側から共有された事業目標、ターゲット、訴求根拠、予算をもとに、媒体選定や配信設計、日々の調整、改善案の提示を担いやすい立場にあります。一方、BtoBでは、誰を商談対象とするか、どの表現を使えるか、獲得したリードを営業がどう扱うかといった事業判断を発注側が主導しなければ、適切な最適化が難しくなります。
とくに、広告文・LP・資料に使う根拠、表現上の制約、商談受け入れ条件、営業からのリード品質フィードバックは、自社内で責任者と判断期限を決めておくことが重要です。内製と外注の役割分担そのものを比較したい場合は、広告運用のインハウスと代理店の比較も参照してください。
工程ごとに「含む・別料金・対象外」を確認する

外注範囲は工程単位で切り分け、「含む・別料金・対象外」と引き継ぎ条件を確認します。
以下の表をそのまま候補先へ渡し、各行について対応可否、作業上限、追加費用の条件を記入してもらうと、提案の前提をそろえやすくなります。リスティング広告に絞った委託内容は、リスティング広告運用代行の解説で確認できます。
| 工程 | 委託先が担いやすい作業 | 自社が決める・担う作業 | 見積もり確認点 |
|---|---|---|---|
| 戦略・設計 | 媒体方針、キャンペーン構成、配信仮説、KPI案の設計 | 事業目標、対象顧客、予算上限、商談受け入れ条件の決定 | 初期設計の成果物、会議回数、対象媒体、調査範囲 |
| 入稿・審査対応 | 広告文・設定の入稿、不承認時の修正案、審査対応 | 訴求根拠と表現の承認、LP・資料の最終確認 | 入稿本数、修正回数、審査対応、承認者と期限 |
| 日常運用 | 予算・入札・ターゲティング、検索語句・配信面などの調整 | 予算変更の承認、事業上の優先順位の判断 | 調整頻度、運用対象数、追加作業の条件 |
| クリエイティブ・LP | 広告素材やLPの改善提案、制作の進行支援 | 訴求根拠、ブランド・法務確認、素材提供 | 制作・LP改善は別料金または対象外になり得る。制作本数、修正回数、編集可能な元データの扱い |
| 計測・連携 | CV設計の助言、計測状況の確認、レポート設計 | タグ実装、権限付与、データ利用方針の決定 | 計測実装、CRM/SFA連携、保守は別料金または対象外になり得る。実装者、テスト範囲、障害時の切り分け |
| 分析・報告 | 実績集計、定例会、改善仮説と次回施策の提示 | 有効リード・商談結果の共有、施策優先順位の決定 | レポート粒度、定例頻度、営業データを扱う範囲 |
| 営業連携 | リード品質のフィードバックを踏まえた配信改善 | 有効リード判定、初回対応、商談・受注情報の管理 | 営業連携は別料金または対象外になり得る。照合方法、責任者、頻度 |
| 終了時の引き継ぎ | 設定・運用履歴・素材の整理、権限変更への協力 | 引き継ぎ先の決定、受領物の確認 | アカウント所有、設定一覧、制作物、データ、引き継ぎ費用と期限 |
Google Adsでは、アクセス水準により閲覧、編集、ユーザー管理などの操作範囲が異なります。Google Adsのアカウントアクセスレベルを確認し、自社の管理者と閲覧権限を設計してください。
権限・データ・引き継ぎは契約前に決める
広告アカウント、GA4やタグなどの計測資産、制作物、運用履歴、リード情報の所有者・閲覧者・終了時の受け渡しが不明確だと、運用の透明性や契約終了時の移管に支障が出ます。媒体、契約、データフローに応じて、自社の管理者、情報システム、法務などの関係者と確認してください。
02Section広告運用代行の費用:相場より先に総額の構造をそろえる
広告運用代行の予算は、媒体へ支払う広告費と、運用・制作・計測などの外注関連費を分けて考えます。手数料率や月額だけを横並びにすると、初期設定、制作、連携、最低契約期間に関する条件差を見落としやすくなります。
Google Adsでは、キャンペーン単位で平均日予算を設定できますが、これは媒体への広告費を管理する仕組みです。Google Adsの予算と入札単価の設定を参考に広告費上限を管理しつつ、外注関連費は別行で承認・比較します。
ポイント
広告費と外注関連費は別にし、契約期間中の総額で比較する
課金単位は金額ではなく適用条件で確認する
広告費に連動する方式、月額固定の方式、成果条件に連動する方式、複数方式を組み合わせる契約などがあります。ただし、同じ名称でも、対象媒体数、定例頻度、制作の有無、最低料金、成果の定義は異なります。方式名だけで有利・不利を決めず、候補先ごとに適用条件を確認してください。
相見積もりで分けて提示を求める費目
広告費
月額媒体へ支払う配信予算です。媒体別の上限と、予算変更の承認方法を確認します。
運用代行費
月額日常運用、分析、報告、定例会などの費用です。課金単位、最低料金、対象作業を確認します。
初期設定費
初期初期設計、アカウント構成、初回入稿などに関する費用です。初期工程に何を含むかを確認します。
制作費
初期・都度・月額広告文、バナー、動画、LP、フォーム改修などの費用です。対応可否や回数は契約により異なります。
計測・連携・ツール費
初期・月額タグ、ダッシュボード、計測保守、CRM/SFA連携、外部ツールなどに関する費用です。
なお、国内では広告費の20%前後の料率に最低手数料の設定を組み合わせる形が広く見られます(2026年8月時点の公開情報。契約範囲・媒体数により変動)。詳細な料金体系の見方は、広告運用代行の手数料・料金体系で補足しています。
3つのシナリオで総額を試算する

費用比較では、広告費と外注関連費を分け、初期費用・継続費用・契約月数をそろえて総額を確認します。
まず、以下の記号に自社の見積もり金額を入れます。A=月額広告費、B=月額運用代行費、C=初期設定費、D=制作初期費、E=月額継続費(継続制作、計測・連携保守、ツールなど)、N=契約月数です。
- 初月総額 = A + B + C + D + E
- 契約期間中の総額 = (A + B + E)× N + C + D
- 商談獲得単価 = 契約期間中の総額 ÷ 商談数
- 顧客獲得コスト = 契約期間中の総額 ÷ 受注数
| 費用層 | 少額試験運用 | 単一媒体の継続運用 | 複数媒体・計測連携あり | 確認先 |
|---|---|---|---|---|
| 対象 | 原則1媒体、CVは1〜2種類。評価期限と上限予算を置く | 既存LP・計測環境を活用し、1媒体で継続改善する | 複数媒体、複数CV、継続制作や計測・連携保守を含む | 提案書・見積書 |
| 広告費 A | A=__円。試験期間の予算上限を記入 | A=__円。増額・減額の承認条件を記入 | 媒体別A=__円+__円。媒体ごとの配分を記入 | 媒体予算と社内承認 |
| 運用・継続費 B・E | B=__円、E=__円。最低料金、対象作業を確認 | B=__円、E=__円。改善・定例の頻度を確認 | B=__円、E=__円。媒体別担当、連携保守、追加対象を確認 | 課金単位、作業上限、追加作業単価 |
| 初期費 C・D | C=__円、D=__円。初回設定・軽微な修正の範囲を確認 | C=__円、D=__円。既存資産を使える範囲を確認 | C=__円、D=__円。新規制作、実装、連携を切り分ける | 初期成果物、制作本数、実装範囲 |
| 追加費用になり得る項目 | LP全面改修、動画撮影、システム改修、社内工数 | 追加媒体、新規LP、撮影、追加ツール | CRM/SFA本体費用、データ基盤改修、外部開発、社内工数 | 対象外・別料金の明記 |
| 契約期間中の総額 | N=__か月を入れ、(A+B+E)×N+C+Dを計算 | N=__か月を入れ、更新・解約予告も確認 | N=__か月を入れ、連携停止・引き継ぎ時の費用も確認 | 最低契約期間、更新、解約、引き継ぎ条件 |
金額の一般値だけでは、支援範囲や契約条件が異なる候補を正しく比較できません。契約月数をそろえ、初月費用と継続費用を分けたうえで、最低料金、追加作業、解約・引き継ぎの条件まで同じ見積もり依頼書で確認しましょう。
03Section広告運用代行を開始するまでの進め方:完了条件から逆算する

開始時期は一律の日数ではなく、権限、承認、入稿、テストCV照合といった完了条件から組み立てます。
開始時期は、契約日から一律の日数で決まるものではありません。既存アカウント、LP、広告素材、計測設定を活用できるか、新規制作やタグ実装、社内承認、媒体審査が必要かで工程が変わります。
ポイント
開始日は日数ではなく、承認・テストCV・入稿の完了条件から逆算する
開始工程が増減する主な分岐条件
既存LP・計測・素材を利用できる場合
利用可否と更新箇所を確認できれば、新規制作・実装の工程を減らしやすくなります。
新規制作・計測実装を伴う場合
原稿、画像・動画、LP、フォーム、タグ、キーイベント、テスト方法の決定と実装が追加で必要です。
法務・情報システム・ブランド確認を伴う場合
表現、データ連携、Cookie等の識別子、権限、再委託の確認担当者と回答期限を工程に組み込みます。
GA4では重要なイベントをキーイベントとして設定できます。GA4のキーイベントを確認し、CV定義とテストの完了を配信開始条件に置きます。
提案依頼から初期レビューまでの進め方
- Step01
1. 要件を整理して提案を依頼する
入力物:目的、KGI・KPI、ターゲット、予算、既存資産、希望開始日。主担当:マーケティング。完了条件:同じ依頼要件を候補各社へ渡せる。
- Step02
2. 提案・見積もりを比較する
入力物:工程別の委託範囲と費目別見積もり。主担当:マーケティング・購買。完了条件:含む業務、別料金、対象外、契約月数を同条件で比較できる。
- Step03
3. 契約と権限設計を確定する
入力物:契約条件、アカウント一覧、管理者、データフロー。主担当:契約責任者・情報システム。完了条件:自社の閲覧権限、委託先の権限範囲、引き継ぎ条件が確定する。
- Step04
4. 初期設計・制作・表現承認を行う
入力物:訴求根拠、広告文、画像・動画、LP、フォーム、除外条件、予算配分、修正ルール。主担当:委託先・マーケティング・制作担当。完了条件:配信設計と広告表現について社内承認が完了し、入稿可能な広告素材と遷移先が承認される。
- Step05
5. 計測テスト・入稿・初期レビューを行う
入力物:CV地点、タグ、GA4、CRM/SFAへの記録条件、承認済み広告とLP、必要な権限、予算上限、監視指標、連絡先。主担当:Web担当・委託先・マーケティング。完了条件:テストCVが媒体、分析ツール、CRM/SFAで照合でき、入稿完了後に不承認時の修正・再申請方針、次回レビュー日を設定する。
広告と遷移先は媒体ポリシーの対象です。Google Adsポリシーを確認し、入稿完了を開始希望日の直前に置かないようにしてください。不承認への対応や再審査の要否は案件条件により変わるためです。
04Section見積もり依頼前に自社でそろえる項目
候補先ごとに異なる情報を渡すと、提案内容も見積もり条件も比較できなくなります。発注側で最低限の前提を決め、未決定の部分は「要提案」として明記することで、比較しやすい提案を受け取りやすくなります。
目的からCV・商談までの評価基準をつなげる
まず、KGIを受注数・受注額などの事業目標として置き、必要な商談数、有効リード数、CV数を自社の実績または事業計画から逆算します。商談化率や受注率を一般値で置くのではなく、自社の営業体制、検討期間、商材単価に合わせて決めることが重要です。
CVは資料請求や問い合わせなどのフォーム送信だけでなく、商談予約など、広告で増やしたい行動を定義します。有効リードでは、対象企業の条件、対象外、重複、営業目的・採用目的の問い合わせの扱いまで決めておくと、運用開始後の評価がぶれにくくなります。
資産・計測・承認の準備を進める
広告アカウント、LP、資料、画像・動画、GA4、タグ管理、CRM/SFAの保有状況と権限を一覧化します。CV地点ごとにテスト送信を行い、広告媒体、分析ツール、CRM/SFAのどこに、誰が、どの定義で記録を確認するかを決めてください。
Googleの同意モードは、ユーザーの同意状態に応じてGoogleタグの挙動を調整する仕組みです。Google同意モードの概要を確認し、利用する計測やデータフローに合わせて設計します。
広告表示と個人データの扱いは関係部署と確認する
Cookie等の識別子、フォームで取得するリード情報、CRM/SFA連携、再委託、広告表示に関する必要な対応は、媒体、データ項目、利用目的、契約条件によって異なります。プライバシーポリシー、データの送信・保管・削除、広告文・LP・資料の根拠と承認者を、法務・情報システム・ブランド担当などの関係者と確認してください。
依頼条件を1枚にまとめる
提案・見積もり依頼前の確認項目
- ✓
目的・KPIを決める
KGI、評価期間、CV、有効リード、商談、受注の定義と担当者を記載する。
- ✓
ターゲット・訴求・予算を決める
対象業種、企業規模、部署・役職、除外対象、訴求根拠、広告費上限、契約期間中の総予算上限を整理する。
- ✓
資産・権限を確認する
広告アカウント、LP、フォーム、資料、GA4、タグ管理、CRM/SFAの所有者・閲覧者・権限付与手順を確認する。
- ✓
計測照合の方法を決める
CV地点、テスト送信、重複・対象外の扱い、媒体・分析ツール・CRM/SFAの照合責任者と頻度を決める。
- ✓
営業連携・承認・開始条件を決める
リードの初回対応、品質フィードバック、広告・LP・予算変更の承認者、希望開始日、選定期限を明記する。
提案依頼書に記載する主要項目
事業・商材と目的
商材概要、広告で達成したい目的、KGI・KPI、評価期限を記載します。
ターゲット・訴求・除外条件
対象企業、部署・役職、地域、顧客課題、訴求根拠、避けたい表現、除外対象を記載します。
予算と契約条件
月額広告費上限、総予算上限、希望する契約月数を示し、費目別見積もりを依頼します。
既存資産と計測環境
利用可能なアカウント、LP、制作物、GA4、タグ、CRM/SFAと、現在の権限状況を記載します。
必要な支援範囲と開始条件
工程別の希望範囲、開始希望日、承認フロー、テストCV照合、入稿完了などの前提を記載します。
05Section広告運用代行会社の選び方:必須条件と加点評価を分ける
選定では、提案の見栄えや単月費用の低さだけで決めないことが重要です。まず、発注後の透明性や安全性にかかわる必須条件を通過判定し、その後に提案内容や体制を加点評価します。
個人データを扱う委託では、委託先の安全管理措置の確認や、契約などを通じた取扱状況の把握が必要になります。個人情報保護委員会の通則ガイドラインを参照し、実際のデータフローに沿って社内確認を進めてください。また、広告主と広告代理店等は不当表示がなされないよう注意が必要です。消費者庁の表示に関するQ&Aも踏まえ、訴求根拠と承認フローを明確にします。
| 区分 | 評価項目 | 判定・入力方法 | 選定時の扱い |
|---|---|---|---|
| 必須条件 | 自社の管理画面閲覧権限と管理者 | 可/否。広告アカウント、計測資産の閲覧者・管理者を確認 | 否なら条件是正または除外 |
| 必須条件 | 業務範囲・追加費用 | 可/否。対象媒体、作業上限、別料金、追加作業単価を文書で確認 | 否なら見積もり再提出 |
| 必須条件 | CV・有効リードの定義 | 可/否。対象外、重複、商談・受注との照合方法を確認 | 否なら評価設計を再協議 |
| 必須条件 | データ取扱い | 可/否。閲覧・処理するデータ、再委託、保管、返却・削除を確認 | 否なら法務・情報システム確認 |
| 必須条件 | 連絡・運用体制 | 可/否。定例頻度、緊急連絡、担当変更時の引き継ぎを確認 | 否なら体制を再協議 |
| 必須条件 | 契約・終了時の引き継ぎ | 可/否。最低契約期間、更新、解約予告、設定・素材・履歴の引き継ぎを確認 | 否なら契約条件を再確認 |
| 加点評価 | BtoB理解・提案仮説 | 重み__×評価__点(1〜5点) | 通過候補のみ合計点を比較 |
| 加点評価 | 媒体適合性・担当体制 | 重み__×評価__点(1〜5点) | 自社の対象媒体・運用規模に合うかを評価 |
| 加点評価 | レポート・改善の透明性 | 重み__×評価__点(1〜5点) | 仮説、実施内容、結果、次回アクションを説明できるかを評価 |
| 加点評価 | 総額の明瞭性 | 重み__×評価__点(1〜5点) | 初期費、継続費、追加費用、終了時費用を含めて評価 |
加点評価は「重み×評価点」の合計で比べられます。たとえば、1点は要件への説明が抽象的または不一致、3点は実施方法を説明できる、5点は自社条件に沿って担当・成果物・制約まで具体化できる、という基準にします。ただし、必須条件を満たさない候補は、点数が高くても発注候補にしません。契約前の条件是正を検討してください。
権限と引き継ぎを「後で決める」にしない
委託終了時に必要となる設定一覧、変更履歴、制作物、レポート、データ、権限変更の手順は、契約前に確認します。とくにリード情報や識別子を扱う場合は、再委託、保管、返却・削除の扱いを、契約とデータフローに沿って社内で確認してください。
06Section開始後の評価:CVから商談・受注までを定例で確認する
開始直後に見るべきものと、営業データが蓄積してから見るべきものは異なります。初期は配信量、CV、CPA、対象外・重複、計測異常を確認し、その後に有効リード率、商談化率、受注率、顧客獲得コストへ評価を広げます。
媒体のCV、分析ツールのイベント、CRM/SFAの商談・受注は、同数になるとは限りません。CV定義、集計期間、重複、複数接点、営業側の登録漏れや判定ルールを照合して解釈します。GA4のアトリビューションは、ユーザー経路上の接点へ貢献を配分する考え方です。GA4アトリビューションの解説も確認し、媒体CVだけで営業成果を代替しないレビュー設計にしましょう。
成果不振時は上流から原因を切り分ける
数値が期待に届かない場合、最初から「運用が悪い」「LPが悪い」と結論づけず、原因を上流から順に切り分けます。
- 計測:テストCV、タグ、媒体・分析ツール・CRM/SFAの記録に不備や定義差がないか。
- 配信量:予算消化、表示、対象設定、配信制限により、判断に必要な配信量が不足していないか。
- CV:クリック後の広告訴求、検索語句・配信面、LP、フォームに改善余地がないか。
- リード品質:対象外率、重複率、営業コメントから、ターゲットや訴求がずれていないか。
- 商談・受注:初回対応、商談受け入れ条件、ナーチャリング、失注理由、対象顧客、商品提案、営業プロセス、許容顧客獲得コストが事業条件に合っているか。
定例会では、期間と対象媒体、予算消化、KPI階層別の実績、前回施策の結果、リード品質、計測差異、次回施策の担当者と期限を確認します。改善案は、影響度、実行可能性、検証に必要な期間、ブランド・法務・営業負荷への影響を踏まえて優先順位をつけてください。
継続・増額、条件変更、縮小、停止、委託先の見直しは、合意した評価期間の終了後に、計測の安定性、KPI階層ごとの課題、実施済み施策、未実施の改善余地、委託先の説明と実行品質を合わせて判断します。
広告運用代行の発注前によくある質問
広告費とは別に、見積もりで必ず分けて確認すべき費用は何ですか?+
月額運用代行費、初期設定費、広告・LPなどの制作費、計測・連携の初期費と保守費、ツール費を分けて確認します。さらに、最低契約期間中の総額、追加作業、解約・引き継ぎ時の費用も同じ条件で比較します。
広告アカウントは委託先に任せても問題ありませんか?+
委託先に必要な権限を付与すること自体はありますが、自社の閲覧権限と管理者を残し、契約終了時に変更・引き継ぎできる条件を事前に確認することが重要です。権限設計は媒体と契約条件に応じて決めます。
広告のCV数とCRM/SFAの商談数が一致しない場合、何を確認すべきですか?+
CV定義、集計期間、重複、複数接点、対象外の扱い、CRM/SFAへの登録状況を確認します。媒体CVと商談数は役割が異なるため、同数であることではなく、差異を説明し改善に使える状態を目指します。
07Sectionまとめ:同じ条件で提案・見積もりを依頼するための整理
広告運用代行の発注では、運用費だけを比べるのではなく、事前に次の3点を文書化しておくと、候補比較と開始後の評価が進めやすくなります。
- 工程別に、委託したい業務、自社が担う判断、含む・別料金・対象外の条件を決める。
- 広告費、運用代行費、初期設定費、制作費、計測・連携・ツール費を分け、契約期間中の総額で試算する。
- 自社の権限、CV・有効リード定義、データ取扱い、引き継ぎ、営業成果までの評価方法を、候補各社へ渡す依頼条件に入れる。
この準備をしたうえで提案を依頼すれば、単月の見積金額や印象だけに左右されず、自社のBtoB営業プロセスに合う委託条件を比較できます。
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